カントリーマアムにこんな味があったとは

Takenori自身がこの記事を読み終わるまでにかかった時間は約4分です。

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高校2年生の春から3年生の夏まで付き合っていた他校の生徒であった彼女は、よく手作りのお菓子を作ってはそれを持って僕に会いに来てくれた。

それまでは嫌いだったがなんとか食べることが出来るくらいにまではなるきっかけを与えてくれたチーズケーキやベイクドポテト、カルビーのよりも分厚くて美味しいポテトチップスによくこんなの作ってきたなと思えるミルフィーユなど、

「こんなお菓子を作ることが出来る彼女を持つと幸せ!」

とすら子供心に思ってしまうような、出来のいい女子だった。

単純に外見も良かった。

芸能人で言うと井上和香に似ていた(今思うと臼田あさみに似ていた)彼女の胸のサイズは、テニス部に入っていたときはDだったが辞めてからEになったと言っていた。

このことが僕の女性の胸に対するサイズの、スタンダードになっているようだ。

チョコチップクッキー

彼女が作ってくれるお菓子の中で、僕が一番好きだったのがクッキーだ。

中でもチョコチップの入った、サイズや焼き加減によっては硬かったり柔らかかったりしたそのチョコチップクッキーを、僕は好んで食べた。

部活で遠い場所へと合宿に行くときには、100円ショップで売っている折りたたむだけで箱になる入れ物にクッキーをたくさん入れて持たせてくれたりもした。

箱のパッケージデザインがミッキーマウスやくまのプーさん、ときにはキティーちゃんやおジャ魔女ドレミだったりしたので、部活仲間はもちろん合宿へ赴いた先の他校の生徒にもよくからかわれた。

それでもそのクッキーをきっかけにして、他校の、しかも話す方言が全く異なる程の遠い地に住まう、当時の僕と同じような年ごろの人間とも簡単に打ち解け合うことが出来たので感謝している。

修学旅行へ行くときにも、彼女は同じようにチョコチップクッキーを箱に入れて持って来てくれた。

宿泊場所へと向かうバスの中で、仲の良い友達数人とそれぞれが持参していた色んなお菓子と交換したときにも、彼女手作りのクッキーは評判が良かった。

「彼女いるだけでもいいのにクッキー作ってくれるとかいいなぁ」

と、少なくとも高校3年間は彼女が出来そうもないクラスメイトに言われたこともあった。

魔女の条件

彼女と付き合っていることに唯一反対していたのは、仲の良い友達数人から、

「魔女の条件かよ」

とからかわれるような関係を持っていた、高校2年生当時の担任であった既婚で子持ちの36歳の女教師だけであった。

冬になると背中に貼るタイプであるカイロがブラウスから透けて見えるのだけが残念な、例え自分よりも20歳年上であっても男女の関係になりたいと思うような、眉毛の濃い凛々しい顔立ちをした女性であった。

その担任教師は授業中にもかかわらず、

「彼女と別れなよ」

とよく僕に向かって言ってきた。

ある日の掃除の時間、他のクラスの生徒もよく通る廊下で、掃除をサボって友達数人と話していた僕のところへやってきた担任教師は、いきなり隣に立って腕を組んできたことがあった。

もちろん腕にはその教師の胸が当たっていて、それは間近で見ていた他の生徒の目にも明らかだった。彼女のEカップより小さかったのであまり何も思わなかったけど。

また別の日には、

「〇〇先生(部活の顧問)にはもう言ってるから、放課後職員室に来て。」

と呼び出され、科目別の教師が4人対席している職員室の奥の、小さい机1台とそれを挟む形で向かい合っていたイス2脚がなんとか入るくらいの狭い部屋で2人きりになったときがあった。

そのときに担任教師に言われた話の内容が、

「彼女と別れた方がいい」

というものと、

「あんたのせいで旦那に箸を投げられた」

というものだった。

旦那に対して生徒に関するどんな話をして箸を投げられる状況になるんだよ、と誰もが思うだろう。

それも当時の僕としては、生徒を生徒以上の目で、もっと言えば男として見ているような口ぶりで担任教師が旦那に話したであろうことくらい、そしてそれが旦那にとっては面白くなかったであろうことくらい、まだ16歳だった子供の僕でも容易に想像が出来た。

部活の練習を見に来られたときは、まだ目線を感じるだけでなんとか練習は出来たが。

大会に応援に来られたときには、同じく応援に来ている彼女と出くわす可能性があったから、競技どころではなかった。それでもそれなりの結果を残してはいたけど。

そんな担任教師ではあったが、放課後の誰もいない教室でも、職員室の奥の狭い部屋でも、大会に応援に来たあとに送ってもらった型の古いカローラの中でも、修学旅行の夜中のみんなが寝静まったバスで隣に座った席でも、一線を越えさせてくれることはなかった。

「そっちから色んな接し方をしてくるのに、そういう行為はなんでダメなのか?」

ということを一度だけ聞いたことがあった。

そのときに担任教師から言われたのは、

「彼女とやってるんやろ」

と、続けて言われた、

「彼女とやってるんだったら私とせんでもいいやん」

だった。

当時の僕は、結局色んな、それはもうたくさんの色んな事情や感情により、その担任教師と一線を超えることは終ぞなかった。

今思うと、放課後の誰もいない教室で2人きりになったときに、唇を交わすくらいのことはしておけば良かったと後悔している。

カントリーマアム

「彼女が作ったチョコチップクッキーよりこっちの方が美味しい」

と言いながら、彼女が作ったそのチョコチップクッキーを食べていた担任教師がある物を僕に手渡してきたことがあった。

カントリーマアムだった。

カントリーマアムを食べたことがなかった当時の僕は、

「バニラ味のクッキーってなに?」

と思いながら一口くちにしたとき、これが今後彼女の作るチョコチップクッキーに取って代わることを予感せずにはいられなかった。

「こっちの方が美味しいやろ?だからもう彼女にクッキー作らんでもいいって言っときな」

と担任教師に言われたときに、

「それもそうだな」

と思ってしまった自分を、今ではとても恥ずかしく思っている。

そんなカントリーマアムにこんな味があるとは知らなかった。

カントリーマアム「バニラ」「大人のバニラ」「ココア」

そう、大人のバニラ。

あのとき担任教師に手渡されたのが、この大人のバニラだったなら…。


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